戦後における「親による障害児者殺し」事件の検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿では,障害児者とその親がおかれた状況の一端を明らかにするために,戦後の「親による障害児者殺し」事件の推移に注目し,過去の新聞報道を基に分析を行った.その結果,(1)未成年の障害児が被害に遭う事件が1980年代以降減少しているのに対し,成年障害者の被害は1990年代以降急速に増加していること,(2)1990年代以降知的障害児者の被害が増加していること,(3)同時期に特に成人期の知的障害者が殺される事件が急増していること,(4)在宅・同居の場合に事件が起こることが圧倒的に多いが,施設に入所していたにも関わらず被害に遭うケースも散見されること,(5)1990年代以降高齢の親による加害が増加していること,が明らかとなった.以上の結果をもたらした要因を,各時代の社会的背景をも考察しつつ検討し,そこから親を中心とする家族が第一義的にケアを負担するシステムの矛盾を指摘した.
- 2007-05-31
著者
関連論文
- 戦後における「親による障害児者殺し」事件の検討
- 障害児の「親の障害受容」研究の批判的検討
- 就学前期における自閉症児の母親の障害受容過程
- 三木安正における知的障害児の親をめぐる論稿の検討
- 自閉症児の母親の障害受容過程 : 1歳半健診制度化の効果と母親への支援のあり方に関する研究