ジャイナ教の仏教学説批判 : Pancastikaya-samgraha第15〜19偈を中心として
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ジャイナ教空衣派の学匠クンダクンダ(Kundakunda)の作品のひとつに『5つの存在体の綱要』(Pancastikaya-samgraha)があり,その第1章では6つの実体(dravya)について論じられている.なかでも第15〜19偈では,実在の変化と同一性が扱われており,これら一連の偈に関して,最古の註釈者アムリタチャンドラ(Amrtacandra)は対論者を特定していないが,ジャヤセーナ(Jayasena)は,仏教学説に対する批判と解釈している.本稿は,第15〜19偈に焦点を当てて,まず,偈の内容そのものとそれに対するジャヤセーナ註(Tatparyavrtti)に見られる仏教学説批判を概観する.そのうえで,(1)刹那滅一辺倒(ksanika-ekanta)と恒常一辺倒(nitya-ekanta)という2つの極端説の設定,(2)〈実体を対象とする視点〉(dravyarthikanaya)と〈様態を対象とする視点〉(paryayarthika-naya)という2つの視点の適用,(3)想定される問題点とその解決法としてのジャイナ教学説,という3つの点にもとづいてTatparyavrttiにおける議論を検討し,ジャイナ教の議論に見られる特徴の一端を明らかにするものである.
- 2007-03-25
著者
関連論文
- 死に至る断食 : 聖なる儀礼か自殺か?
- ジャイナ教の仏教学説批判 : Pancastikaya-samgraha第15〜19偈を中心として
- ジャイナ教における多面主義的実体観の特質 : Dravyalamkara第2章における部分・全体論を中心として(駒澤大学における第五十五回学術大会紀要(二))
- ジャイナ教白衣派聖典における布薩--アンガ聖典を中心として
- ジャイナ教における布薩の概念 : シュラーヴァカ・アーチャーラ文献の記述を中心として
- 砂漠の中心で不殺生を叫ぶ聖者たち--ラードゥヌーン見聞録
- 宗教的生命倫理に基づく食のタブー : 禁止された食物と不殺生
- Umasvatiに帰せられる4つのシュラーヴァカ・アーチャーラ文献