antaranga解釈規則におけるangaについて
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概要
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パーニニ学派の文法家ナーゲーシャ・バッタ(Nagesa Bhatta,18世紀)の著作『パリバーシェーンドゥシェーカラ』(Paribhasendusekhara)においてasiddham bahirangam antarangeという解釈規則が規定されている.ナーゲーシャはこの中のangaについて「文法規則に第七格形などによって示された語形という操作の根拠」であると述べている.パーニニ文法学では,語の派生の際,語の構成要素が一定の順序で導入されることが想定されている.この解釈規則は,その際,想定された導入順序が早い語の構成要素を根拠として適用される文法操作が,想定された順序が遅い要素を根拠として適用される文法操作よりも先に適用されることを規定している.そして,その場合の文法操作を導く構成要素が「語形という文法操作の根拠」であり,それらの要素を示しているのが「文法規則に含まれている第七格形などの語形」である.『パリバーシェーンドゥシェーカラ』の注釈者たちは「第七格形など」の中に第六格形が含まれることを否定している.そのうちの一人であるバイラヴァ・ミシュラ(Bhairava Misra)はそれに関して,第六格形で示された要素は,文法操作を受けるものを示すので文法操作の根拠ではないからと説明している.しかし実際には,第六格形で示された要素は操作を受ける要素であるが,それと同時に,その要素が導入されることによって適用機会を得る操作を導くから,それらの語形の中に第六格形も含まれるというのがナーゲーシャの見解であると考えられる.
- 2007-03-25