ゴーパダッタ作『ジャータカ・マーラー』 : 現存する16篇すべてを含む初の校訂本について
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概要
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Gopadatta作のJatakamalaが存在したことは,Somendraが父Ksemendraの著作であるBodhisattvavadanakalpalataの後書きにその名を挙げていることと,Giuseppe Tucciが1930年頃にネパールで写本を見て,この作品について記述しているという事実から裏付けられる.Tucciはこの写本を購入したようであるが,その所在は今日では不明となってしまった.Gopadattaの作品には単行で流伝しているSaptakumarikavadanaがあり,そのチベット語訳は1978年に,サンスクリット原典は1992年に校訂出版された1977年と1992年にHAHNが立てた「Gopadatta仮説」によれば,ネパールで編纂された仏教文学集に含まれる14篇と,チベットで発見された貝葉写本に残る1篇の合わせて15篇がGopadatta作Jatakamalaに帰すると考えられる.この仮説は少なくとも一つの説話については立証された.1980年から1996年にかけて15のうち12篇がモノグラフ二篇と一連の論文で校訂出版され,今やGopadattaの作品とみられる16篇すべてが一冊の本として英訳とともに出版されうる段階にきている.ただし,現存する資料だけを元にしてでは,すべての箇所で意味のあるテクストを再現するのは困難である.なお,「Gopadatta仮説」が正しければ,この16篇のテクストの分量はGopadatta作Jatakamala全体の95%に相当すると見られる.
- 2007-03-25