在宅高齢女性の転倒経験と体力

概要

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在宅高齢女性(79.9±3.7歳,n=37)を対象に,転倒と体力との関係を明らかにするため,歩行速度(普通・最大),筋力(股関節の屈曲・外転,膝関節の伸展および足関節の底屈に関する動的筋力),柔軟性(体幹の回旋,股関節の伸展・屈曲・外転および足関節の底屈・背屈の関節可動域),敏捷性(全身反応時間)および平衡性(開眼片足立ち)の測定を行い,その後5年間の転倒の有無と体力との関連を検証した.5年後,37名中14名に,その間に1回以上の転倒経験が認められた.そこで,転倒群と非転倒群に分け,両群の5年前の体力特性を比較した.その結果,転倒群は非転倒群と比較して,歩行速度および神経反応時間が遅く,股関節外転筋力および膝伸展筋力が有意に低値を示した.さらに,転倒群の体幹の回旋および股関節伸展の関節可動域は転倒を経験していない集団より有意に狭い傾向が示された.以上の結果から,高齢女性の転倒には,歩行能力,全身の敏捷性および下肢の筋力の低下に加え,体幹の回旋ならびに股関節伸展の柔軟性の機能低下が重要な要因となることが示唆された.
2007-04-01