中国系小売企業における小売知識フロー・プロセスの考察 : 小売業態の展開と関連させながら
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概要
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小売業の国際化、特に小売知識のフローは、一国における小売業態の生成・展開とつながる。本論文は、受入国における小売知識フローと小売業態の展開と関連について検討するものである。その検討は中国における現地小売企業における小売知識フロー・プロセスの考察を通して行う。こうした考察は小売知識フローの促進要素について検討することにもつながる。まず、小売知識フローによる受入国における小売業態展開のメカニズムを分析する。次に、中国における小売業態展開の代表的な中国大手小売企業である華聯(SM)、華潤万佳(GMS)、可的(CVS)を例として、それぞれにおける小売知識フロー・プロセスを考察する。こうした考察、検討を通じて、次の結論が導出された。1)小売知識のフローによって、受入国における小売業態の多様化と業態内細分化が促進される。また、革新的な小売業態を創出する可能性がもたらされる。2)中国の現地小売企業における小売知識フローは、基本的に知識の識別、獲得、学習、活用という4つの段階に分割して考察することができる。知識の獲得段階で、特に模倣による知識の獲得が重要な役割を果たしていた。模倣を通じて、小売企業は小売業態の概念を店舗まで具体化させる。そして学習・活用段階を通じて小売企業は業態のさらなる展開あるいは業態の細分化を実現する。3)小売知識フローを促進する要素として、(1)知識アクティビスト(知識を組織に拡げ活かす人)、(2)組織変革、(3)業態展開に応じた知識の段階的な取り込み、(4)学習プロセス、の4点がある。
- 国際ビジネス研究学会の論文
- 2006-09-30