精神障害者における胃癌および大腸癌手術例の検討
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概要
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はじめに : 本邦の精神障害者の受療総数は近年増加している.精神障害者が外科手術を受ける際に精神疾患がsursrical riskとなるのか否か,当院での胃癌および大腸癌手術症例を対象として検討した.方法 : 1998年1月から2005年3月までに当院で行われた精神障害患者の胃癌および大腸癌手術61例(以下,障害者群)と同時期の非精神障害患者の胃癌,大腸癌手術320例(以下,非障害者群)を対象とし,retrospectiveにその周術期成績を検討した.結果 : 検診が癌の発見契機となった症例は大腸癌で障害者群が有意に少なかった.術後の身体的合併症は胃癌で障害者群38%,非障害者群28%で,大腸癌で障害者群30%,非障害者群33%であった.手術直接死亡は胃癌,大腸癌ともに両群で0例であった.合併症率,直接死亡率ともに両群で差は認められなかった.術後在院日数は中央値でみると胃癌で障害者群30.5日,非障害者群25日.大腸癌で障害者群22日,非障害者群24日でともに有意差はなかった.術後の精神的合併症に関連して,向精神薬の静注投与を要した患者の比率,身体抑制を要した患者の比率,問題行動を起こした患者の比率を検討したが,これら3項目とも障害者群で有意に高い結果となった.考察 : 精神障害者の胃大腸癌手術は,術後の精神症状に対する対応を必要とするが,全体としてのリスクは非障害者と同程度と考えられた.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 2007-04-01
著者
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