雇用者の仕事と家庭生活から見た日本の「ファミリー・フレンドリー」企業の課題 : 「家族に優しい」銀行の事例研究
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概要
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本研究の目的は,雇用者の仕事と家庭生活の考察から,日本の「ファミリー・フレンドリー」企業の課題の明確化,及び,コース別雇用管理が「ファミリー・フレンドリー」施策・男女平等施策に与える影響の議論である.従来の研究は雇用者の生活(職業生活と家庭生活)を深く注目すべきであった.本研究では,「ファミリー・フレンドリー」企業として表彰された銀行に勤める(離職者を含む)8人の女性従業員と面談を行った.調査は,2005年に1月から8月にかけて行われた.その結果,3点が明らかになった.(1)この企業の被雇用者は,自分の会社の「ファミリー・フレンドリー」施策が,自分の仕事と家庭生活にとって支援的ではないと認識していた.(2)この企業の「ファミリー・フレンドリー」施策は,男女被雇用者に,家族的責任の為の時間を充分に与えていない.(3)コース別雇用管理を伴う「ファミリー・フレンドリー」施策は,職場における実質的男女平等を保証しない.これらの議論をもとに,本研究は次の2点を提言した.第1に,「ファミリー・フレンドリー」企業は,パートタイム雇用者にとっても(仕事と家庭の両立施策を使用できるよう)支援的でなければならない.第2に,「ファミリー・フレンドリー」で男女平等な職場は,コース別雇用管理を含む間接差別の撤廃なしには達成し難い.
- 2007-03-15
著者
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