情報政策史の時代区分に関する提案 : 経済産業省と情報産業を中心に
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概要
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1990年代までの日本の情報政策は,経済産業省(旧通商産業省)による情報産業政策が中心となってきた。しかし,2001年の中央省庁再編以降、情報政策の目的や手法は大きく変わりつつある。日本の情報政策の変遷について,本稿では,(1)第1期(1954-1968年):情報産業政策の形成期,(2)第2期(1969-1981年):情報政策の「通産省モデル」確立期,(3)第3期(1982-1992年):日米通商摩擦下での国家プロジェクト遂行期,(4)第4期(1993-2000年):「通産省モデル」崩壊に伴う政策転換期,(5)第5期(2001年以降):情報政策における省庁間連携モデル構築期,の5つの時期に区分することを提案する。政策立案・実施の主体である経済産業省は,政策の目的や実施内容の変遷という視点から,1960年代以降を4つの時期に分けている。しかし,政策の立案・実施だけでなく評価までを視野に入れた情報政策史を記述・分析するためには,官庁の情報政策担当者の視点だけでなく、官庁の外部で政策形成に影響を与えた者や実施された政策の影響を受けた者の視点も含める必要があるだろう。そこで,本稿では主に経済産業省と情報産業との相互作用という視点から情報政策史を整理することで,上記の5つの時代区分の妥当性と有用性を論じた。
- 2007-03-30