ケナフの生育に対する施肥レベルと灌水の影響 : ダイズ・トウモロコシと比較して

概要

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二酸化炭素吸収能力が高く,地球温暖化抑制効果があるといわれているケナフ(Hibicus cannabinus L.)の二酸化炭素吸収能力をダイズ・トウモロコシと比較した.また,多肥区と少肥区,灌水区と無灌水区を設け,施肥量や灌水が生育に及ぼす影響を調べた.ケナフの収穫時乾物重はダイズやトウモロコシに比べ著しく大きく,個体当たり高い二酸化炭素吸収能力を示した.しかし,ケナフの純同化率(NAR)はC_4植物であるトウモロコシの多肥区よりも低かった.ケナフの収穫時乾物重は無灌水少肥区では灌水多肥区の約半分であった.施肥量と灌水は乾物生産にほぼ同じ影響を与えた.ケナフはダイズとトウモロコシよりも著しく高い乾物生産(二酸化炭素吸収能力)を示したが,乾物生産とNARとの間には相関はみられなかった.一方,乾物生産と葉面積指数(LAI)との間には,作物間でもケナフの処理区間でも高い相関が認められた.したがって,ケナフの高い二酸化炭素吸収能力は,大きな葉面積を有することによると考えられる.また,ケナフは少肥栽培でも灌水を行うことで高い生長を示したことから,土壌への負荷の少ない栽培が可能と考えられる.