虐待者である「息子」の特徴と高齢者虐待防止への視点 : 研修参加訪問介護員へのアンケート調査からの知見
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概要
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従来の高齢者虐待研究によって明らかになった実態は,いまだ表層的である.本稿は,訪問介護員を対象にM県で行った高齢者虐待に関するアンケート調査の結果を踏まえ,虐待者のうちで最も多い「息子」に焦点をあてつつ,より具体的な実態把握および今後の支援策の提示を目的とする.なお,本稿での虐待類型は,通常の5類型に社会的虐待,医療的虐待,自虐を加えた8類型としている.まず虐待を行う「息子」の待徴として,(1)世話を行っている者と虐待者の一致率が高いこと,(2)被虐待者の要介護度に関わりなく虐待が発生すること,(3)性格・人格は「粗暴な性格」および「精神的未成熟・依存」の2タイプがある等を明らかにした.これを受け,今後の高齢者虐待防止システム構築や職員の介入・支援の視点として,以下のような課題を提起した.すなわち,担当ワーカーは,(1)粗暴もしくは依存的な性格・人格がうかがえる「息子」の実態把握と経過観察を待うこと,(2)経済的虐待を防止するうえでも高齢者の収入・預貯金の把握を行うこと,(3)親子関係の修復を目的とした長期的介入を行うこと等である.
- 2007-02-28