「新たな公共」概念の再考と地域福祉 : 「市民的公共圏」の生成の場としての地域福祉の課題
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概要
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近年日本の社会福祉において「新たな公共」という概念が一般化しつつある.それは従来の官僚主導の「旧い公共」に代わる分権的で市民を主体とする社会空間を意味し,具体的には地域を基盤とした市民参加を含んだ公私協働のサービスネットワークがイメージされる.しかし改めて公共哲学の視点で「新たな公共」という概念を考察すると,そこには「市民的公共圏」という考え方が希薄で,政府や市場から独立した空間という意味が弱いという問題がみられた.そこでハーバーマスおよび彼の影響を受けた論者の議論に従い,地域福祉が「市民的公共圏」を生成するための条件を検討した結果,社会福祉協議会を自律的なアソシエーションとして再建することを重要な課題として指摘するに至った.さらに「新たな公共」の創造には民間性の追求が重視されるとともに,その推進の鍵を握る地域福祉計画について,行政と民間の双方の計画が連携することが求められた.
- 2007-02-28