地域気象が支配する日本の大気汚染
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概要
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急速な公害対策が求められた1970年代初頭以降,大気境界層と地域大気汚染の調査・研究は格段の進歩を遂げた。光化学大気汚染の発生により,個別発生源ではなく汚染気塊の地域規模での輸送として機構・構造を解明することが課題となり,地域気象の役割が注目されるようになった。おりから1970年代にメソスケール気象モデルが大きな進歩を始め,反応モデルとセットで現実との対比も可能なレベルになったことにより,観測や実測データ解析と数値モデルが相補い合い,地域気象とそれに結びついた大気汚染が解明されてきた。本稿では地域気象・汚染研究の観測的側面に重点を置いてその経過を回顧するとともに,現代と今後にわたる課題を拾ってみた。研究対象とされた課題の展開の方向に沿い,主要トピックとして海風,大規模局地風系,都市ヒートアイランド影響,地域生成オゾン問題,および陸風,関東の広域よどみと高濃度汚染,房総局地前線を取り上げた。近年は気候変動の影響が地域気象と汚染の挙動にも重なり合っていることに注意して,今後も状況を追跡していく必要がある。
- 社団法人大気環境学会の論文
- 2007-03-10