大腸菌のCsrグローバル制御システムによる転写後調節
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概要
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Csr (carbon strage regulator) グローバル制御システムは多くの細菌に存在し、様々な遺伝子の発現を調節している。大腸菌において、Csrシステムの活性の中心はRNA結合蛋白質CsrAである。CsrAは二量体を形成し、標的となるmRNAのリーダー部位に結合することでmRNAの安定性と翻訳に影響を与える。CsrAの活性は2つの非翻訳型のsmall RNA、CsrB及びCsrC、によって制御される。これらのsmall RNAは複数のCsrA結合配列をもっており、CsrAを捕らえる働きをする。Csrシステムには自己調節回路が存在し、CsrAは二成分制御系のBarA/UvrYを介して間接的にcsrBとcsrCの転写を活性化させる。Csrシステムの新たな構成成分CsrDタンパク質はCsrB及びCsrC RNAの分解を制御している。CsrDはGGDEFとEALの2つのドメインをもっているが、典型的なGGDEF-EALタンパク質とは異なり、cyclic di-GMPの代謝に関与していない。csrD変異株において、CsrB及びCsrC RNAは劇的に安定となり、それはCsrAが制御する遺伝子の発現を変化させた。Csrシステムの構成成分、CsrA、CsrBとCsrCのsmall RNA、及びCsrDは、恒常的なCsrA活性制御のメカニズムを備えた自己調節回路内で相互に作用している。
- 新潟大学の論文