スポーツの価値と企業政策 : 「CSR」の視点から
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概要
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研究ノート(Note)近年、わが国では、企業スポーツの衰退に象徴される、スポーツを経営の枠内から退避させる傾向が著しい。この動向は、主に情報技術の発展やグローバリゼーションの潮流による、スポーツのメディアバリューの低下及び、従業員価値重視経営から株主価値重視経営へのパラダイムの変化に起因する。そのため、企業に頼らないスポーツ体制が求められている。たとえば、スポーツ政策の主体を自治体や地域社会に置き、企業はそれをサポートするという「総合型地域スポーツクラブ」への移行である。しかし、本小論はその動向とは一線を画するものである。本小論の目的は、スポーツの価値を企業の社会的責任論(Corporate Social Responsibility、以下「CSR」と略す)の視点から再構築し、ステイクホルダーから評価される事業モデル構築を試論することにある。本小論では、まずスポーツが持つ社会的、組織的価値についての考察を通して、企業に対するステイクホルダーからの評価を抽出する。さらに、CSRが求められている社会的背景やCSRとスポーツの関係についての考察とこの評価を統合させ、企業スポーツがCSRの実現に寄与するための事業モデルを提示する。