ユニバーサル・アクセスと経済格差 : アメリカ学生経済支援政策の構造と課題(<緊急特集>「格差社会」と教育の課題)
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概要
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本稿の目的は、日本の政策課題である学生支援と関連施策の充実・体系化のために、大学進学へのアクセスと経済格差問題に焦点をあてて、アメリカの政策動向を考察し、基礎的知見を得ることにある。アメリカにおける学生経済支援政策は、(a)狭義の「学生経済支援政策」(奨学金政策)、(b)税・金融政策、(c)授業料・学費政策の3つの系の公共政策の連関としてとらえられる。狭義の学生経済支援政策は、教育の機会均等をめぎして拡充されたが、授業料の高騰に追いつかず、低所得層の生徒は依然として大学進学へのアクセスを阻害されている。低所得層の大学へのアクセスを保障するためには、「早期介入プログラム」や、低所得層向けの「教育費貯蓄プラン」の開発が望まれる。そして、大学へのユニバーサル・アクセスの実現のためには、学生経済支援政策の振興とともに、大学の授業料それ自体の「定価」を安価に保つ制度設計が必要である。
- 2006-12-29