付加的語彙情報が韓国人日本語学習者の日本語破裂音識別に与える影響
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概要
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韓国人日本語学習者(KL)を対象に,KL にとって識別困難である日本語語頭破裂音をターゲット音声とし,[バ(拍)][バン(単語)][バンを運転する(文)]のように付加的語彙情報に差のある3条件の識別力の違いについて検討した。その結果,全体的傾向として「拍<単語<文」の順で正答数に差が生じ,語彙情報がKLの日本語破裂音識別に何らかの影響を与える可能性が示唆された。そこで,[単語→文]の正答数の変化を項目別にさらに検討したところ,文になり述語情報が付加された場合に正答数が有意に多くなる項目が見られた。語頭音識別という点で課題は共通であるが,条件によって差が見られた。ここから,KL は純粋な音声情報処理の面では日本語破裂音の識別に困難点を抱えているものの,付加的語彙情報,特に述語情報を利用しトップダウン的な情報処理を行っている可能性が示唆された。したがって,大まかな意味理解に注意を向け,トップダウン的な情報処理方略を活性化させることが,聴解教育時の効果的な指導法の一つであると考えられる。
- 国際医療福祉大学の論文
- 2007-01-31
著者
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