自然的原因により重金属等を溶出するトンネル掘削土判定と処理 : 日本海沿岸東北自動車道 大館〜小坂 雪沢第二トンネル(<特集>環境汚染問題に対する応用地質学の貢献)
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概要
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日本海沿岸東北自動車道 大館北インターチェンジ(仮称)〜小坂ジャンクション(仮称)間の最も東に位置する雪沢第二トンネルでは,トンネル掘削の対象となる泥岩の一部で,セレンが土壌汚染対策法に定められた溶出量基準を超過することが工事着手前に行った調査でわかっていた.また,雪沢第二トンネル着工時期より先に着工している当該区間の西に位置する大茂内第一トンネルでは,工事中に粘土化した凝灰岩と泥岩凝灰岩互層で砒素の溶出量基準超過がみられ,簡易溶出試験のpHと強熱減量が高い試料での溶出が顕著であることがわかった.掘削土について土壌汚染対策法に定められた分析を行い,溶出量基準を超過するか否かを判定するには時間を要する.トンネル工事では日々,掘削土を坑外に搬出するため,試験に長時間要すると,掘削作業の休止または掘削土の仮置き等が長時間に及び,トンネル掘削作業を効率的に行うことが困難となる.よって,掘削作業の効率化には,迅速かつ簡易な掘削土の判定方法が必要となった.本報告では,前述した大茂内第一トンネルでの事象を参考に,(1)簡易溶出試験pH,(2)強熱減量,(3)全岩硫黄含有量,(4)S/Ca(モル比)にしきい値を設けて行っている,雪沢第二トンネルの掘削土の簡易な判定方法と,溶出量基準を超過する掘削土の処理方法について述べる.
- 一般社団法人日本応用地質学会の論文
- 2007-02-10