高齢糖尿病性慢性腎不全患者における外来栄養指導一症例
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概要
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外来通院中の糖尿病性慢性腎不全患者(77歳)を対象に4年3ヶ月,継続的栄養指導を行った結果,有意な腎障害の進展はなかった.栄養指導内容は,外来・高齢を考慮したツールの使用,たんぱく質摂取量を0.7〜0.8g/kgIBW/dayにし,たんぱく質食品の選択(アミノ酸価の高いのもを利用する,GFRの亢進をもたらすアミノ酸を抑える)に重点をおいたものである.腎障害指標と体重,TP,Alb,T-Cho,TG,Ht,Hbによる栄養指標の経過を見ながら,エネルギー,たんぱく質,食塩量などの摂取量評価を行い,頻回のモニタリングの実施で栄養指導のコンプライアンスを持続させ,患者自身の目標である血液透析療法導入遅延が遂行できた.その結果,本症例のような血圧の安定した症例では,Crクレアランスが25ml/min以下であってもエネルギー量充足のもとで,たんぱく質制限を緩和して0.7〜0.8g/kgIBW/dayで有意な腎障害の進展がみられない可能性が示唆された.また,標準体重あたりのたんぱく質摂取量は同量でも動物性たんぱく質比の上昇とともにCrの増加がみられたことも興味深い.本症例は,対照がなく,観察期と治療期が明確でないこと,治療薬との関わりなどから,低たんぱく食食事療法の効果を判定することは困難であるが,今後,多数例での検討に値する指導法と思われる.
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