5.陽イオンの膜透過について(I)
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概要
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環境問題やエネルギー問題に関わって膜の分離作用が注目されている。高等学校化学においては,「コロイド溶液の透析」の中で半透膜(セロハン)の作用について学習するが,それらは実験的に,小さい粒子であるイオンが透析されることを定性的に確認することで終わっている。本稿では,一歩進んでどのような陽イオンが透過しやすいかを実験的に確認し,イオンの透過という物理的現象を適量的に捉える実験を行った。実験そのものは,ヴィスキングチューブを用いて流水中で透析をするという簡便な形態である。その結果,質量の大きいイオン,イオン半径の大きいイオン,価数の大きいイオンは透過しにくいことがわかりその実験的な定式化もおこなった。それらは,Fickの法則に矛盾しないことがわかった。これらの結果は,現在注目されいている機能性分離膜への興味と関心へと発展するものである。化学的親和性を因子として考慮するこれらの素材を理解する上での基礎になると考えられる。
- 京都教育大学の論文
- 1994-03-31