学童期吃音児の行動の変化と吃音の変化との関連性の検討
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概要
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小学校中高学年で交友関係の乏しい吃音児4人を対象に,治療過程における行動の変化と吃音の変化との関連性を検討した。家族や乏しいながらも関係のあった子供とのかかわりが積極的になる相談の初期には吃音が減少している。自発的に同年輩児のグループへ所属しあるいはスピーチの回避場面へ挑戦し始めた時期に,いったん減少していた吃音が増加し,それらが定着するにつれて吃音は再び減少している。グループとの交流がある程度安定した後に学業や運動に意欲的に取り組み始めているが,その時期にも吃音の一時的な増加が認められ,それを経て吃音はさらに軽快していっている。子供が成長し,人や課題と新しいかかわりを始める時期に吃音が増加し,それが定着すると再び減少するという経緯をたどりつつ吃音は軽快していき,相談の終結を迎えている。ここにおける吃音の増加現象は,いわゆる吃音の悪化要因によるものとは異なる性質のものである。
- 桜花学園大学の論文
- 2003-03-31