養護教諭の糖尿病の児童生徒へのかかわりの実際とその問題点に関する研究 : 1県内小・中・高等学校の場合において
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概要
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本研究の目的は,岩手県内の学校に在籍している糖尿病の児童生徒への養護教諭のかかわりの実際や,それに伴う問題点を明らかにすることである.L.W.GreenによるPROCEEDモデルと兼松の小児糖尿病管理におけるアプローチを基盤とした概念枠組みにより,養護教諭14人に対して糖尿病の児童生徒16人の学校生活でのかかわりについて半構成的面接を行ない,語られた内容を質的に分析した.その結果,前提要因で糖尿病の児童生徒が『糖尿病の知識はある』と判断した養護教諭は,実現要因で『配慮』『確認』を行ないつつも,糖尿病の児童生徒の療養行動を認めた『自己管理に任せる』かかわりを行ない,強化要因へのかかわりは少なかった.一方,前提要因で糖尿病の児童生徒が『糖尿病の知識は不十分』と判断した養護教諭は,実現要因で『配慮』『確認』『声かけ』『指導』のかかわりを,強化要因で『担任』『家族』といった関係者との『連絡』『相談』のやりとりを行なっていた.養護教諭の糖尿病児童生徒へのかかわりの問題点には,養護教諭の糖尿病に対する認識に関するもの,糖尿病の児童生徒へのかかわりの難しさ,強化要因へのかかわりの難しさがあった.養護教諭は,前提要因である糖尿病の児童生徒がもつ『糖尿病の知識』や『気持ち・願い』をよく把握した上で『自己肯定感』を高めるようなかかわりを行ない,教職員へかかわりの『方針』を示していく必要がある.さらに養護教諭には,糖尿病の児童生徒のかかわりや2型糖尿病予防に関する相談ができるシステムとして,糖尿病看護に精通した者や糖尿病療養指導士からの支援体制の構築が必要である.
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