極低出生体重児出生の現状と支援に関する研究
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概要
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今回,極低出生体重児をもつ母親の妊娠から現在までの経過およびその経過に沿った母親の思いとサポート感の関連や母親の希望する支援を明らかにし,より効果的な支援を見いだすことを目的に質問紙調査を行った.対象は,極低出生体重で出生した現在二歳未満の子どもをもつ母親であり,以下のことが明らかとなった.妊娠中に伴う合併症があった人は70%以上と多くみられ,それらにつながる重症なつわりや腹部痛などの症状を気にしていなかった人が2〜3割であった.そして,母子健康手帳の受け取り時期が遅いこと,交付時の説明や指導を25%の人が受けていなかったことや母親学級の参加頻度が低いことが明らかとなった.母子健康手帳の受け取り時には事務的な手続きのみではなく,保健師による専門的な指導を強化していく必要がある.子どもが入院中に母親のみ退院した時期と子どもも退院した時期に最も希望が多かった支援方法は家庭訪問であり,母親のみ退院後に希望する支援内容では,育児知識の提供や気持ちの傾聴であった.家庭生活により密接した退院後の生活の見通しを立て,個別の悩みをじっくり聞くことが重要である.また,子どもの退院後には4週間以内の早期に家庭訪問を行い,育児知識の提供や病気時の対処方法の説明などの個別支援が重要であり,医療機関からの退院後の速やかな連絡と地域における支援システムの確立が重要である.極低出生体重児をもつ母親は自責の念や抑うつ傾向にあり,両親や親戚からのサポート感が低いことが関連していた.また夫には実質的サポート以上に心理的サポートを求めていたことから,家族面会時の支援を強化していく必要がある.800g未満の子どもは有疾患率が高く,母親の不安や悩みも特に強かったため,個別的支援や超低出生体重児のみのピアサポートを設けることも必要である.母親の喫煙については,妊娠中に限らず妊娠前の喫煙の胎児への影響も含めた禁煙教育の必要性が示唆された.
著者
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田村 晃
岩手県立大学看護学部
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浅野 英利子
滝沢村役場福祉課
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白畑 範子
岩手県立大学看護学部
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渡部 朋
岩手県立大学看護学部
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高橋 栄久子
青森県健康福祉部保健衛生課
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長内 あつ子
岩手県保健福祉部児童家庭課
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工藤 千秋
岩手医科大学附属病院
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菅原 順子
盛岡市保健センター
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浅野 英利子
滝沢村健康推進課
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笹島 尚子
岩手県環境保健研究センター
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奥寺 三枝子
岩手県盛岡保健所
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斉藤 真弓
岩手県北上保健所
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山口 容子
岩手県宮古保健所岩泉出張所
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工藤 千秋
岩手医科大学医学部内科学第2講座
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