周産期に示す母親の免疫反応と児(仔)に及ぼす影響 : 鬼子母神効果
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
従来,出生後における新生児の感染防御免疫は主に母体由来の移行抗体によると報告されている。児の体内で代謝されて無効となる生後六ヶ月までの間,少なくとも母子免疫は児にとって利点として考えられてきた。この点の解釈には大きな変更はない。しかし,父親由来の遺伝子を表現する胎児が何故免疫学的に拒絶されることなく子宮内で発育できるのかについては大きな謎である。周産期における母親と児(仔)の免疫学的相互作用について,今まで知られていない作用があることは充分予想される。この点について血清学的,免疫遺伝学的,遺伝子工学的方向から多角的に研究した。ここでは,上記の受動的移行抗体を除外しながら,母親が児(仔)の能動的免疫学的能力に干渉する様式を主として調べた成績を紹介する。出生後,児(仔)の能動的免疫反応の展開を調べていくうちに,母親は児(仔)の特異的免疫反応に干渉し,児(仔)の反応を抑制することを見出した。この抑制は抗原特異的であり,児(仔)の1/6生涯の間持続した。また,抑制の機構を調べていくにつれ,母親の免疫担当細胞そのものが児(仔)に移行し,児(仔)の免疫反応に干渉していると判定された。この事実は,これまで自己免疫と考えられてきた病態を母子免疫の方向から展開する可能性を示唆するものと考える。この小文では,私たちの実験を紹介しながら,従来報告されていない母親の干渉に関する功罪について免疫生物学的に討議した。
- 金沢医科大学の論文
著者
関連論文
- 鍼治療の細胞内サイトカインおよび血中ホルモンへの影響
- 口腔・咽頭由来多剤耐性菌MICと生薬製剤
- サルモネラ菌感染モデルマウス作成と補中益気湯による免疫調節治療の試み
- 短期温泉浴のβ2-アドレナリン受容体発現リンパ球サブセットへの影響
- 短期温泉浴のβ_2-アドレナリン受容体発現リンパ球サブセットへの影響
- 温浴と免疫 (特集 温浴と健康の科学)
- 温泉療法 (臨床に活かす 補完・代替医療) -- (さまざまな補完・代替療法)
- 短期温泉浴と末梢血液中免疫担当細胞への影響-質的検討-
- 短期温泉浴と末梢血液中免疫担当細胞への影響-量的変動-
- 鼻アレルギー誘発時の末梢血CD陽性細胞レベルでみた小青竜湯の作用機作
- メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染動物における補中益気湯の除菌効果
- 消化管アレルギーと皮膚アレルギーと漢方薬
- 腸管出血性大腸菌感染症モデルマウスに対する補中益気湯の免疫調節作用
- P-8 免疫学的パラメーターからみた補剤と瀉剤の特徴
- がん化学療法剤によるマウス後天的免疫不全状態の生薬別回復の特徴
- P-48 免疫調節性生薬製剤の構成単味生薬がペニシリナーゼ活性に及ぼす影響
- 8.運動療法が末梢白血球の数と機能に及ぼす影響(第9回日本体力医学会北陸地方会)
- 鍼灸治療効果の研究 : 鍼刺激後の白血球及びリンパ球亜群に対する質的影響
- 鍼灸治療効果の研究 : 鍼刺激後の白血球及びリンパ球亜群に対する量的影響
- 鍼灸治療効果の研究--鍼刺激後の白血球及びリンパ球亜群への量的・質的影響 (第51回全日本鍼灸学会学術大会) -- (シンポジウム 免疫と鍼灸)
- 鍼治療効果の研究 : 末梢白血球特にリンパ球への量的・質的影響
- 079 鍼治療効果の研究 : IIIリンパ球機能への影響
- 078 鍼治療効果の研究 : II リンパ球及び亜群への影響
- 077 鍼治療効果の研究 : I 白血球及び亜群への影響
- 短期温泉浴による末梢白血球亜群の量的変動と分布率別調節-対照実験を併設して-
- 5.感染症と補剤 : 基礎の立場から(第50回日本東洋医学会学術総会)
- 補剤をめぐって
- II-追加発言 (3) 宿主介在性抗腫瘍作用を示す生薬有効成分の検討
- ヒト末梢中の白血球, リンパ球亜群変動に及ぼす運動の影響
- II-B-3 B16 melanoma 細胞に対する saikosaponin-a と mitomycin C の併用効果
- 周産期に示す母親の免疫反応と児(仔)に及ぼす影響 : 鬼子母神効果
- 第16回日本未病システム学会学術総会論文 シンポジウム 未病と薬学・薬剤師 未病におけるサプリメントの役割