ナンセンス変異依存mRNA分解機構(NMD)の機構と役割について
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概要
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例えば色素性乾皮症,Werner症候群,血管拡張性失調症などの劣性遺伝疾患ではmRNAの読み枠の途中で終止コドンを生むナンセンス変異が原因遺伝子に見いだされ,その発現は,mRNAレベルでほぼ消失していることが知られている。これはナンセンス変異をもつ遺伝子のmRNAが細胞内で選択的に分解されていることが原因であるが,この分解経路のことをRNAサーベイランス,またはナンセンス変異依存mRNA分解機構(Nonsense-mediated mRNA decay),略してNMDと呼ぶ。現在考えられているNMDのモデルでは,はじめにスプライシングに伴ってエキソンとエキソンのつなぎ目にタンパク質の複合体(Exon junction complex)が結合する。この複合体を介してNMD関連因子がmRNA上へ集結する。このあとの翻訳で,リボソームがナンセンス変異で停止すると,変異の3'側に結合するNMD関連因子と相互作用して変異mRNAだけを選択的に分解に導く。この時,リン酸化および脱リン酸化反応が分解へのスイッチとして機能すると考えられている。ナンセンス変異は遺伝疾患で見いだされるだけでなく,スプライシングの失敗やRNA編集の結果として,常に生体内のmRNA上に生まれているらしい。NMDはこのような遺伝情報のノイズを排除しており,遺伝情報の品質管理に必須な機構であると考えられている。
- 金沢医科大学の論文
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