保険診査における検査と危険選択 : 尿検査
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概要
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尿検査は生命保険の危険選択の検査法として最初に導入され,今日においても基本的かつ重要な選択手段の地位を占めている。尿糖・尿蛋白を基本にその評価も独自のものであるが,実施上のスタンスは健康診断の立場に近い。健康診断における検尿の有用性については,世界的には以前より異議もある。特に尿糖については,厚生労働省の発表及び糖尿病の診断基準からは,軽視される傾向にある。当社の健康診断結果利用時における血糖関連の検査と尿糖との分析上も,スクリーニング検査としての有効性に対しては疑問を抱かざるを得ない。蛋白については,臨床上糸球体腎炎発見の契機として検診時検尿が大部分を占めており,日本においては概ね肯定的である。腎炎以外にも,糖尿病・高血圧・心血管病においても予後因子・リスクファクターとして重要視されており,今後も重要な選択手段と考えられる。また,試験紙法の問題点として,以前より目視法による判定法上の問題及び試験紙間の定性値相違の問題がある。保険医学的には特に留意を要すところである。JCCLSによる試験紙の国内標準化が正式に決定,実際の運用・普及が期待されるところである。
- 日本保険医学会の論文
- 2006-12-17