手の随意運動の視覚的制御における頭頂連合野の役割
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概要
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手の随意運動の視覚的制御に関連する頭頂連合野のニューロンの働きを検討した。いろいろな形のスイッチを一定の順序で操作する課題をニホンザルに学習させ,サルの手の操作運動に関連する7野の単一ニューロン活動を記録し分析した。その活動に関わる因子を解析するため,明るい部屋の中だけでなく視覚入力を除いた暗室内の手の運動に関連する発射活動やスイッチの注視に伴う反応も調べた。視覚入力を除いても手の運動に直接関連して活動する手指運動関連ニューロンが,頭項間溝後壁(POa野)で記録された。手指運動関連ニューロンは手がスイッチに伸ばされると同時に発射頻度が増加し,スイッチを操作し終わるまで持続的に活動した。スイッチの見えない暗室内では,明るい部屋の中に比べて,手の運動に関連する神経活動は小さいことが多かった。そのようなニューロンの約半数は明るい部屋の中でスイッチを注視するだけでも活動が増加した。多くの手指運動関連ニューロンは特定のスイッチを操作する時に最大の反応を示し,スイッチの軸方向に選択性を持つ場合もあった。以上の結果から,手指運動関連ニューロンの活動には,運動の対象や自分の手の動きに関する視覚情報と運動の指令信号の両方が関わっていると思われた。このニューロンは操作対象の空間的特性に合わせて手指の運動を誘導する働きを持つと思われた。
- 1990-12-25
著者
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