器質的心疾患のない小児にみられる上室性心室性期外収縮の24時間心電図,運動負荷テストの検討
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概要
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器質的心疾患のない小児不整脈の多数例での検討は少ない。そこで,上室性期外収縮23例,心室性期外収縮79例,計102例,年齢3〜15歳を対象に24時間心電図検査と運動負荷テストを行なった。発作性上室性頻拍,複雑心室性期外収縮(多源性心室性期外収縮,2連発期外収縮,心室性頻拍)の有無,運動負荷による不整脈の誘発,管理基準の決定について検討した。1.上室性期外収縮23例のうち発作性上室性頻拍は通常心電図で3例(13%),24時間心電図で9例(39%),運動負荷テストでは9例中3例(33%)に検出された。2.心室性期外収縮79例のうち複雑心室性期外収縮は,通常心電図で6例(8%),24時間心電図で27例(34%),運動負荷テストでは44例中6例(14%)に検出した。3.新たに発作性上室性頻拍,複雑心室性期外収縮が検出され,心臓病管理指導表の管理区分を変更した例は上室性期外収縮7例,心室性期外収縮28例であり,このうち治療を8例に開始した。次に複雄心室性期外収縮,発作性上室性頻拍を合併する例の特徴を検討した。4.症状を訴える例では,発作性上室性頻拍は6例中4例(67%),複雑心室性期外収縮は16例中8例(50%)に検出された。5.年齢別の複雑心室性期外収縮発生の比較では,12〜15歳で有意に多かった(P<0.05)。6.心室性頻拍例は,1日の心室性期外収縮の頻度が有意に多かった。通常心電図で2・3段脈の例では,心室性頻拍の検出率が有意に多かった(P<0.01)。7.心室性期外収縮の日内変動は,昼型,全日型が多かった。8.起源部位は,右室起源の例で複雄心室性期外収縮が多かった。以上より,管理指導区分の変更,不整脈の治療変更の決定に,24時間心電図検査,運動負荷テストは有用であった。
- 千葉大学の論文
- 1989-08-01