新生児甲状腺機能異常症の母子相関
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概要
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新生児一過性甲状腺機能亢進症および一過性甲状腺機能低下症における母体由来のTSH受容体抗体(TSH-receptor antibody: TRAb)等の役割について,バセドウ病や橋本病の母親より出生した新生児等で検討した。1)バセドウ病でTRAb陽の母親17例から出生した新生児のうち4例に新生児一過性甲状腺機能亢進症を認めた。このうち3例の母親のTRAb値は78%以上であった。母体血中TRAb値と新生児血中TRAb値は良い相関を認めた。2) TRAb陽性の橋本病3例のうち1例が新生児一過性甲状腺機能低下症となった。その母親のTRAb値は98%だった。また培養ブタ甲状腺濾胞細胞によるTSH刺激抑制抗体の活性もその母親で最も強く認められた。3)妊娠6-8か月の妊婦1345例における甲状腺自己抗体(MCHA, TGHA)の陽性頻度は192例(14.3%),このうちTRAb陽性は19例だったが,これらの母親から出生した新生児はマススクリーニングで異常は認めなかった。4)新生児マススクリーニングにて高TSH群の甲状腺自己抗体の陽性率は5.8%であり,正常TSH群の1.7%より有意に高かった。以上よりまた甲状腺自己免疫疾患を有する母親では出産前にTRAb値を測定することは,その新生児に一過性甲状腺機能亢進症あるいは甲状腺機能低下症をきたしやすいかどうかを予測でき,新生児の管理にあたり有用な指標となる事がわかった。
- 千葉大学の論文
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