遺伝子導入によるメラノーマ抗原の発現
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概要
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マウス・メラノーマ細胞B16腫瘍特異抗原を,遺伝子導入法を用いて,異種細胞であるヒト・メラノーマ細胞SK-MEL-28に発現させ,この発現様式を経時的に解析した。また,この抗原陽性の形質転換細胞から,B16ゲノムDNAを単離した。その方法は,1)B16ゲノムDNAライブラリーをコスミッド・ベクターpCV103を用いて作成し,これをプロトプラスト融合法により,SK-MEL-28細胞に導入した。2)ライブラリーを導入した形質転換細胞の抗原発現を,抗マウス・メラノーマ・モノクローナル抗体とFACSによって経時的に解析し,抗原陽性細胞のみを選別した。3)選別された細胞由来のDNAから,イン・ビトロ・パッケージング法を用いて,抗原発現を支配するB16ゲノムDNA(pD2-7)を単離した。4)pD2-7を再びSK-MEL-28に導入し,このゲノムDNAがメラノーマ抗原の発現に関与することを確認した。以上の実験によって解析されたこの腫瘍抗原の発現は,ライブラリーを導入した場合のみならず,クローン化されたゲノムDNAを導入した場合においても不安定であり,この要因が導入遺伝子の欠失に依存することが判明した。しかし,抗原陽性細胞をFACSで繰り返し選別することにより,安定した抗原発現が維持されることが明らかとなった。
- 千葉大学の論文
- 1987-10-01