一次元潜時等電位図による筋活動電位の伝導速度の測定と筋線維伝導速度分布
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概要
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単一の筋について,活動電位の伝導速度(CV)あるいは伝導の終止点から筋線維を分類し,その筋内分布を調べた。蛙縫工筋を摘出し,ガラス管微小電極を用いて単一筋線維を電気刺激した。筋の長軸に沿って2mm間隔に16本配置された細胞外記録電極より活動電位を導出した。個々の電極より得られる電位変化から一次元潜時等電位図(UDLT)を描き,活動電位の伝導の模様を記録した。UDLTは横座標が記録電極の位置,縦座標が刺激からの潜時を示す電位分布図である。従って,活動電位の伝導の模様は等電位の斜線として表わされ,その傾斜がCVを意味する。測定例の約半数(83/176)で,CVは腱に近づくにつれて減少した。このように末梢側でCVが低下する線維は,筋の中央部に多く存在し,両側部では少なかった。伝導の終止点より,筋成分から腱へ移行する点を調べた結果,筋成分の短い線維は両側部に多く,特に内側部に多数存在した。一定速度で伝導している部分のCVをもとに,各筋維の筋内速度分布を調べた。筋の両側部および表層部でCVは速く,中央部および深部で遅かった。このように単一の筋でも部位によりCVが異なることの意義は,個々の線維の神経支配との関連で議論されねばならないが,生理的な収縮に,構成筋線維の種々な収縮様式が複雑に関与していることを示しているものと思われた。遅筋は深層に位置するという,哺乳類で一般的に認められる傾向と類似の現象が,両棲類の表層に在る単一の筋を構成する線維のCVにおいても確認された。