抗メラノーマ同系キラーT細胞の抗原認識機構
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概要
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種属を越えてメラノーマ細胞を傷害する同系キラーT細胞が,B16マウス・メラノーマを刺激細胞として,in vitro 1次反応系で誘導されることが既に明らかになっている。本研究において,この同系キラーT細胞が標的細胞を破壊する際の抗原認識機構を,抗体をインヒビターとして用いた細胞傷害活性阻止試験を行ない解析した。用いた抗体は,抗H-2^b抗血清および同系マウス単クロン抗メラノーマ抗体である。その結果,同系キラーT細胞の細胞傷害活性は,(1)アロ・キラー活性を阻止する抗H-2^b抗血清では全く阻止されないが,一方(2)糖鎖より構成されたメラノーマ抗原を認識する単クロン抗体によって特異的に阻止された。したがって,B16メラノーマ細胞に対する同系キラーT細胞は標的破壊の際に,糖鎖が関与したメラノーマ抗原を特異的に認識するが,組織適合抗原の制約は必ずしも受けない可能性が示唆された。
- 千葉大学の論文
- 1986-04-01