胃癌切除例の長期追跡調査からみた予後と治癒判定について : 特に早期胃癌について
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概要
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1962年国立がんセンター開院以来,1976年12月31日までに治癒切除された原発性胃癌は早期胃癌を含めて2千数百例である.このうち,病理学的検索の十分になされた単発早期胃癌732例及び単発進行胃癌1382例について,詳細な予後追跡調査を行い,life table methodによって生存率の算出を行った。これによると早期胃癌の5年生存率は97.7%,10年生存率は94.6%であり,進行胃癌の5年生存率は52.4%,10年生存率は46.5%であった。早期胃癌の予後は進行胃癌の予後に比べて極めて良好であったが,その生存率の推移は進行胃癌に比べて特徴的であった。すなわち,進行胃癌においては,術後5年以内の生存率の下降が急激であるのに対して,早期胃癌では,術後10年までほぼ緩徐に下降した。更に,進行胃癌の深達度を細分して見ると,深達度の深いもの程,術後5年以内の生存率の下降が著明であり,術後5年以降,緩徐になっている。また,深達度が浅いもの程,早期胃癌の生存率グラフの形態に類似することがわかった。以上の事は胃癌治癒切除後の治癒判定において,術後10年の経過観察が非常に重要であることを示唆している。また,早期胃癌の予後に関しては,特に深達度,リンパ節転移の有無,肉眼型,大きさ,合併潰瘍の深さ,組織型について検討した。その結果,早期胃癌の深達度,リンパ節転移の有無,合併潰瘍の深さ,組織型は早期胃癌の予後を左右する重要な因子であることが判明した。
- 千葉大学の論文
- 1986-04-01
著者
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