先天性副腎皮質過形成症(塩喪失型21-hydroxylase欠損)の長期管理の検討
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概要
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当科で長期管理中の先天性副腎皮質過形成症の塩喪失型21-hydroxylase欠損症8例を対象として,経口摂取食塩量とその各種検査データに及ぼす影響,並びに各検査データの治療指標としての意義について検討し,以下の結論を得た。CAH症例では,正常対照群に比し高食塩摂取の傾向が見られた。経口摂取食塩量の影響は,PRA,aldosteroneのみでなく,17-OHP,testosterone,17-KS,P-triolにも見られ,検査データの変動は大きかった。従って,これらの検査データを指標として用いるには,摂取食塩量も考慮に入れることが望ましいと考える。また,摂取食塩量を変化させた時の検査データの動きや,rapid ACTH負荷テストに対する反応を見ることは,管理状況を把握する良い方法と思われた。治療継続状態での低塩負荷は,軽いストレスによる塩喪失クリーゼ誘発の危険度を把握するのに有用であった。低塩負荷時の悪化データ及び高塩負荷時の改善データの種類を見ることは,治療修正時にglucocorticoidまたはmineralocorticoidのどちらを先に変更するかを判定する一助となると考えられた。摂取食塩量のいかんにかかわらず,glucocorticoid単独療法よりglucocorticoidとmineralocorticoid併用療法の方が,より安定したコントロール状態が得られた。CAHの成長発育を正常範囲内に保つためには早期からのきめ細かい管理が必要とされる。
- 千葉大学の論文
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