超音波法による左室機能とくに拡張期動態の検討
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概要
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超音波法(M mode Echo法および2-D Echo法)を用いて,左室機能,とくに拡張期動態について検討した。対象は正常(若年健常者53例,中年健常者40例,高年健常者38例),および拡張能に影響をおよぼすと思われる3つの疾患(左室肥大を伴う高血圧症26例,僧帽弁狭窄症(MS)48例,収縮性心膜炎3例)である。M mode Echo図より,心室中隔左室面,左室心内膜面,心外膜面をトレースし,左室径曲線,左室容積曲線,左室後壁厚曲線を作図した。2-D Echo短軸像より,左室断面積曲線を作図し,それぞれの曲線から収縮期および拡張期の最大変化速度(最大収縮速度: max Ds, max SER, max Ws,最大収縮内腔面積変化率,最大拡張速度: max Dd, max FR, max Wd,最大拡張内腔面積変化率)を求めた。MS群については,さらに僧帽弁口面積(M.V.A.)を計測し,これらの値との関係をみた。1)若年健常者,中年健常者に比し,高年健常者では,最大拡張速度は低下し,加齢とともに急速流入期と緩徐流入期の区別が不明瞭となった。2)肥大を伴う高血圧症では,最大拡張速度の低下をみたが,急速流入期と緩徐流入期の区別は明瞭であった。3)MSでは,急速流入期と緩徐流入期の区別はなく,拡張期全体を通じてほぼ一定の拡張速度低下を示した。この拡張速度の低下は,M.V.A.と正相関を示し,弁口狭窄による流入障害のためと思われた。4)収縮性心膜炎では,拡張速度は健常とほぼ同じ例もみられたが,拡張後期の充満は悪く健常例と異っていた。以上,超音波法による左室拡張期動態の検討は,非観血的であり,臨床に極めて有用であると思われた。
- 千葉大学の論文
- 1984-04-01
著者
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