本態性高血圧の調圧反射機能 : Noradrenaline負荷試験の臨床的有用性および年齢,血圧高,性の影響
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概要
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健常60例,本態性高血圧212例を対象とし,35歳以下を若年群,36歳から60歳までを中年群,61歳以上を老年群とし,さらに本態性高血圧をそれぞれの群で動揺性と固定性に分け,全例にnoradrenaline漸増負荷試験を0.1μg/kg/minより開始し,3分毎に0.1μg/kgずつ増量して,それぞれの調圧反射機能を比較検討した。noradrenalineを負荷すると,血圧は上昇して心拍数は減少する。その時の平均血圧の上昇度に対する心拍数の減少度勾配,すなわち圧受容体勾配(msec/mmHg)をもとめ,それを調圧反射機能の指標とした。さらにこの検査法の有用性を検討するために,67例にはneosynephrine漸増負荷試験を併用した。両薬物の間には相関係数r=0.74と有意の正の相関関係がみられた(p<0.001)。また,noradrenaline負荷試験の再現性も相関係数r=0.94(p<0.001)と極めてよかったことより,本検査法による調圧反射機能評価は有用であると考えられるばかりでなく,noradrenalineはnosynephrineに比較し昇圧に対する心拍反応の相関がより高く,また,疼痛刺激が少なく,同時に心拍出量や心力学的計測をおこなうにはすぐれた検査法であると思われた。本機能検査を年齢,血圧,性差などについて検討した結果,以下の成績がえられた。(1)調圧反射機能は加齢とともに,また,平均血圧の上昇とともに低下していた。(2)若年群・中年群・老年群ともに健常,動揺性高血圧,固定性高血圧の順にその機能は低下していた。(3)中年男性と女性の調圧反射機能を比較すると,男性と女性の勾配の平均値には有意差はみられず,女性の調圧反射機能も男性と同様,健常,動揺性高血圧,固定性高血圧の順に低下し,中年群においては,男性と女性の調圧反射機能に有意差は認められなかった。
- 1984-02-01