ヒト尿中の11-dehydro-thromboxane B_2および2, 3-dinor-6-keto-prostaglandin F_1 αのradioimmunoassayによる測定系の確立と臨床応用
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概要
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生体内のthromboxane A_2(TXA_2)とprostacyclin (prostaglandin I_2: PGI_2)産生の新しい指標として最近注目されている,ヒト尿中の11-dehydro-thromboxane B_2(11-dehydro-TXB_2)および2,3-dinor-6-keto-prostaglandin F_1 α (2,3-dinor-6-keto-PGF_1 α)のradioimmunoassay(RIA)による測定系を確立し,さらに臨床応用への有用性を検討した。尿中の11-dehydro-TXB_2はoctadecylsilyl (ODS)シリカミニカラムによる抽出・シリカミニカラムによる精製の後,11-dehydro-TXB_2に対する抗体を用いてRIAにて測定した。尿中2,3-dinor-6-keto-PGF_1αはODSシリカミニカラムによる抽出の後,薄層クロマトグラフィーにより6-keto-PGF_1 αと分離した後に,6-keto-PGF_1 αに対する抗体との交叉反応性を利用してRIAにて測定した。これらの測定系は感度・信頼性・再現性のいずれも優れていた。次にこの測定系を利用して以下の臨床試験を行った。(1)健常男性6人に対してアスピリン100mgないし500mgを7日間投与したところ,11-dehydro-TXB_2は100mg・500mg投与とも同程度に有意に抑制されたが,2,3-dinor-6-keto-PGF_1 αは500mgでより強く抑制された。またアスピリンによる抑制効果には個人差も大きく認められた。(2)健常男性5人に対してTXA_2合成阻害薬OKY-046を投与したところ,11-dehydro-TXB_2の抑制に伴い2,3-dinor-6-keto-PGF_1 αの増加が見られた。(3)高コレステロール血症患者では尿中の11-dehydro-TXB_2が正常者に比べ増加していたが2,3-dinor-6-keto-PGF_1 αは差がなかった。以上の結果より,今回確立したヒト尿中の11-dehydro-TXB_2と2,3-dinor-6-keto-PGF_1 αのRIAによる測定系は簡便で信頼性が高く,臨床応用にも有用な優れた方法であると考えられた。
- 千葉大学の論文
- 1993-12-01
著者
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