1.文化的実践としての不登校III : 不登校経験というサポート戦略(II-8部会 不登校問題,研究発表II,日本教育社会学会第58回大会)
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概要
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本稿では、不登校支援の現場における支援者(ボランティア)と被支援者(不登校児)の関係性に着目し、それを「ピア・サポート(peer support)」という視角から分析していく。「ピア」という用語は、「年齢の類似性」と「経験の類似性」という二つの「類似性」をその意味として包含しているが(森定2002)、本稿においては、主に後者が有する役割や意味に焦点化し、考察していく。具体的には、支援者の有する不登校経験が、不登校児の登校意欲や進路決定などに及ぼす影響について考察していく。その際、分析対象となるのは、2004年7月から不登校経験児に対して継続的に実施している、不登校経験と生育環境に関する聞き取り調査に基づく「語り」である。「語り」からは、支援者の有する不登校経験が、不登校児が支援者をロールモデル化する一つの契機として機能しており、結果的に、その登校意欲や、教育ルート復帰後の学業志向性、進路決定に影響を及ぼしていることが見て取れた。
- 2006-09-22