技術指向型地域企業に対する知的財産ファイナンスの円滑化方策に関する研究
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概要
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本研究では,技術指向型地域企業が新分野進出や知的財産(権)の獲得,その後の知的財産権の有効活用等に取り組むに際しての必要資金を金融機関(特に地銀)から調達するためのファイナンス(以下「知的財産ファイナンス」と略称)が円滑に機能するための方策について検討している。現状では主として「情報の非対称性」によって知的財産ファイナンスは十分に機能していないと見られる。当分野の既存研究においては知的財産の価値算定や評価手法の開発に研究対象が集中し,企業や金融機関における経営戦略及び経営組織の実態面での研究はほとんどない。本研究では経営戦略及び経営組織の面に注目し企業と金融機関双方にアンケート及び面談による事例調査を行った。その結果,知的財産ファイナンスが機能していない理由として,1)地銀側と地域企業側で融資審査に際して認識ギャップが存在すること,2)地域企業側で知的財産が業績に結びついていないこと,3)地銀にとって知的財産ファイナンスの経験・ノウハウ不足と信用リスクの高さが課題,という実態が明らかになった。結論部分において,知的財産ファイナンスが円滑に機能するための対策として,1)地域企業側には経営戦略と連動した実効性のある知財戦略の策定,2)地銀側には知的財産ファイナンス担当窓口設置と知財評価方式の見直し,を提案している。
- 研究・技術計画学会の論文
- 2006-12-08