日ロ共同気球実験で観測された高エネルギー銀河宇宙線のエネルギースペクトル(大気球研究報告)
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概要
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本報告は,1995年から1999年にかけて行われた10機の長時間気球に搭載したエマルションチェンバーによって観測された宇宙線のエネルギースペクトルと化学組成を報告している.この気球観測実験での全露出量は575m2hr,平均高度は32km であった.我々は,10〜1000TeV/particle の高エネルギー領域での陽子,ヘリウム核およびCNO 核グループ,NeMgSi 核グループ,Fe 核グループのエネルギースペクトルについての最終解析結果を示す.加えて,2次核/1次核比,全粒子スペクトル,1次宇宙線の平均質量数についても合わせて報告する.我々の陽子の結果は,他の観測結果とよい一致を示しているが,ヘリウム核については,JACEE やSOKOL で得られた強度の約半分であった.これら2つの成分のスペクトルの傾きは,10〜500TbV/nucleon の領域でほぼ平行で,そのべきは2.7〜2.8乗である.重粒子成分のスペクトルは,CRN グループによって得られた低エネルギー領域でのスペクトルの延長線上にあり,エネルギーとともに強度を単調に減少している.LiBeB やsub.Fe グループによる,2次核/1次核比はTeV/nucleon 領域のデータを報告している.全粒子スペクトルと平均質量数については,20〜1000TeV/particle 領域をカバーしている.RUNJOB の全粒子スペクトルはJACEE やSOKOL に比べ,40%〜50%程度低い強度を与え,平均質量数は1PeV までほぼ一定のままである.
- 宇宙航空研究開発機構の論文
著者
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晴山 慎
Major In Pure And Applied Physics Science And Engineering Waseda University
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V. A.
Physical Department of Moscow State University
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V. I.
D. V. Skobeltsyn Institute Of Nuclear Physics Moscow State University