地球温暖化に伴うおだやかな高温ストレスがトマトの生産性と雄***官の発達に与える影響(プロジェクト研究展望)
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概要
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温暖化による伴う平均気温の上昇が農作物の生産性に与える影響が危惧されている.しかしながら,植物における高温ストレスの研究はヒートショックの影響に関するものがほとんどを占めることから,生育適温をわずかに超えた穏やかな高温ストレスが,トマトの生産性と生殖生理に与える影響を栽培学,生理学,分子生物学の俯瞰的視点から調査した.その結果,昼/夜温が28/22℃から1℃でも温度が上昇すると,トマトの着果率は低下することが明らかにされた.温度上昇が着果率の低下に及ぼす影響は昼温28〜32℃,夜温22〜26℃の範囲では同等であった.一方,バイオマス,光合成速度,呼吸速度などの栄養生長的指標には穏やかな高温ストレスの影響は認められなかった.開花前の葯では高温によりスクロース含量が上昇し,グルコース・フルクトース含量と酸性インベルターゼのコピー数が低下した.また,発達中の葯におけるプロリン含量に変化はなかったものの,花粉表面で発現するプロリントランスポーター1遺伝子のmRNAコピー数の低下が認められた.以上のことから,着果率の低下は発達中の雄***官の高温感受性が特異的に高く,糖代謝とプロリン転流の阻害に起因すると考えられた.
- 2006-03-31
著者
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