エキスタチンの培養破骨細胞に与える影響
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概要
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破骨細胞の基質への接着はインテグリンのリガンドとなる細胞外マトリックスのRGD配列に依存した部位を認識することで可能になる.クサリヘビ毒から抽出されたエキスタチンにもRGD配列が含まれるためにインテグリンに競合的に結合することで破骨細胞の骨面への接着を阻害することで骨吸収を抑制すると考えられているが,エキスタチンの作用については不明な点が多い.そこで,破骨細胞の接着に関わるポドゾームやアクチンリングと接着関連膜蛋白のインテグリンのRGD認識機構に着目し,エキスタチンによって培養破骨細胞の接着性がどのような影響を受けるのか,破骨細胞における接着構造を単なる接着装置としてのみならずシグナル伝達の場としての側面から明らかにするために形態学的解析を行った.実験に用いた破骨細胞はウサギ骨髄から分離し,カバーガラス上で培養した.F-アクチン染色にはローダミンファロイディン,ビメンチンやチューブリン局在,インテグリンとエキスタチン局在の証明には抗体を用いた免疫染色を施した.破骨細胞にエキスタチンを作用させると,ラメリポディウム領域の消失に伴う細胞収縮及びアクチンリングの崩壊が見られた.インテグリンとエキスタテン局在は類似し,細胞接着構造としてのポドゾーム及びアクチンリングとインテグリン局在はほぼ一致していた.エキスタチン処理によってポドゾームやアクチンリングの配列変化が起こり,インテグリンやエキスタチン局在変化と連動していた.さらに,チューブリンの配列変化はポドゾームの消長と同調していた.エキスタチンは破骨細胞のインテグリンに結合しポドゾームやアクチンリングの分散を引き起こし破骨細胞接着を抑制した.これらの結果から,接着構造としての細胞骨格からなるポドゾームやアクチンリングが単なる接着構造としてのみならずシグナル伝達の場であることが示唆された.
- 2006-06-25
著者
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