エビデンスに基づいた犯罪予防 : 国際的視点(I 課題研究 米国から日本へ)(日本の治安と犯罪対策-犯罪学からの提言)
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概要
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民主政治において,新たな犯罪の原因を作らずに犯罪を防止するにはどうしたらよいのであろうか.耳に心地よい反面,効果のないプログラムに予算を浪費しないためにはどうしたらよいのであろうか.そして,情動ではなく,理性に基づいた決断をするにはどうしたらよいのであろうか.こうした問題は,文化や歴史にかかわらず,どのような民主体制をも悩ませる問題である.これらについて,エビデンスに基づいた政府においては共通の解決策があるかもしれない.この論文は,エビデンスに基づいた政府という考え方及びそれを実践するためのDIRVERモデルを見つめ直すと同時に,犯罪防止に関する様々な疑問に対するエビデンスの基準についても考察する.そうした考察に基づいて,犯罪防止のエビデンスにおいて,無作為統制実験(RCT)が必要とされる部分はそれほど多くないかもしれないが,新たな犯罪を生み出すことなく,犯罪を防止するためには,それぞれの国においてRCTが不可欠である.犯罪防止政策をより理性的な枠組みで考えるためにも,先進国の指導者は,RCTを推進していくことが必要である.
- 2004-10-18