政策論としての犯罪対策(I 課題研究 日本の治安と犯罪対策-犯罪学からの提言)
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概要
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政策論の立場から犯罪対策を考えるが,本格的な研究ができていないため,概略を示すにとどまる.社会安全政策論は,主権者である国民が政策を決定する上で,参考となる情報を提供することを目指すものである.コストと効果とのバランスが求められるが,コストとしては,財政的費用,権限行使対象者の権利自由制限,一般人の自由ないし利益の制限に加えて,市民の犯罪回避行動による直接的負担を含める必要がある.政策手法について,制裁の予告,個人の行う予防対策への支援,犯罪被害者の被害軽減など,機能別に整理し,概観をする.政策論としては,そのほか,地方分権の流れの中における犯罪対策組織の在り方(国と地方公共団体との役割分配,国民による組織の統制手法),他の政策との間での競争・利害調整も課題となる.もう一つのテーマは,調査研究に対する期待である.「根拠に基づく犯罪予防」の発想による研究が我が国でも行われることが望まれるが,政策への展開には,それ以外の手法によるものも含めて,個別に効果があることを探す態度が求められる.説明責任,政策評価が求められる今日,現場における状況を調査によって明らかにすること,現場の感覚が研究成果によって裏付けられることの意義が重要になっている.さらに,総合的な研究のための体制作りも求められる.政策当局者と価値観を共有する研究者との間で,建設的な対話が進められることを期待したい.
- 2004-10-18
著者
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