MRI(磁気共鳴画像)による背臥位での両側股関節屈曲運動の解析 : 仙腸関節・腰仙関節・腰椎椎間関節の関与について

概要

論文の詳細を見る
背臥位での股関節屈曲可動域には,骨盤に対する大腿骨の動きと,仙腸関節・腰仙関節・腰椎椎間関節が関与した骨盤後傾が含まれる。本研究では,健常成人女性10名(平均年齢21.2歳)を対象に,MRI (Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像)を用いて,背臥位・膝関節屈曲位での他動的な両側股関節屈曲運動時の骨盤大腿リズムおよび骨盤後傾運動に関与する仙腸閉節・腰仙関節・腰椎椎間関節の動きを解析した。結果,股関節屈曲角度が14.1°のときには骨盤が0.8°前傾したが,それ以降は股関節屈曲角度が増すに従って骨盤は後傾し,股関節屈曲角度中の骨盤後傾角度の割合は,1/60 (0.5°/29.1°)・1/16(2.8°/43.9°)・1/14 (4.3°/59.7°)・1/6 (22.7°/139.0°)と変化し,一側股関節屈曲と比較すると骨盤後傾量が大きかった。また,一側股関節屈曲と比較して,最大屈曲位ではL3/L4の屈曲の割合が有意に大きく,さらに仙腸関節の動きを認めなかったことから,両側股関節屈曲では仙骨が骨盤と一体となって後傾し,その動きが腰仙関節と腰椎椎間関節の動きへと連動したと考える。
社団法人日本理学療法士協会の論文
2006-12-20