更新世末期の陥没盆地 : 魚沼丘陵北部・田麦山陥没盆地(<特集>新潟県中越地震の被害と地質)
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概要
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2004年10月に発生した新潟県中越地震の激震地の一部である,魚沼丘陵北部の田麦山地区で,更新世末期の田麦山陥没盆地を発見した.これは現在の時点で最も新しい時代の陥没事例の報告である.田麦山陥没盆地は,径1〜2kmのほぼ菱形で周囲の丘陵と境され,この盆地を構成する田麦山層は丘陵との境界で高角のアバット不整合で基盤の鮮新統と接する.高角不整合面には陥没時の崩壊・地すべり堆積物(縁辺不淘汰堆積物)を伴う.高角不整合面は断層崖あるいはその崩壊面である.田麦山層は,約2.6〜2.9万年に降灰した広域火山灰・姶良Tn(AT)を挟在し,礫,砂,シルトの不淘汰で不規則な互層から構成され,泥炭層を挟む停滞水域における堆積物である.田麦山層の下位の小和北層は,旧魚野川の河床礫層から構成され,その堆積時には田麦山には魚野川が流入していたことがわかる.この旧魚野川は田麦山陥没盆地形成直前の断層・隆起運動で遮断され,流路を変えた.この魚野川の流路の急変を沈降運動で説明することはできない.本地域を含む山本山ブロックは信濃川流域のなかでも,後期更新世以後現在までもつとも隆起運動が活発な地域である.更新世末期の小和北層から田麦山層の急激な堆積環境の変化は,この地域のブロック運動にともなう隆起→断裂→陥没の結果と判断できる.中越地震はこのような地質背景をもつ場の一部で発生した.しかし,この陥没構造と中越地震の直接の関連については今後の課題である.
- 2006-11-25
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