加減の文章題における児童の理解とつまずき
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概要
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1.Change問題とCompare問題の問題タイプの相対的難易度Change問題の中ではRileyら(1983)と同様,CH1とCH2に次いでCH4が易しかった(表7)。しかしCH4が易しい理由はRileyらによる理由とは異なるのではないかと推察された(13ページ参照)。またCH3はRileyらとは異なってCH5やCH6と難易度が類似していた(表7,表8)。Compare問題の中では易しいタイプから順に(1)CP2,(2)CP4,(3)CP1とCP3,(4)CP5,(6)CP6であった(表11)。CP5とCP6が難しいという点はRileyらと共通していたが,それ以外は特に共通点は見られなかった。Change問題とCompare問題の間では,Rileyらによれば表2と表3から明らかなように全体的にCompare問題の各タイプの方がかなり難しくなっているが,本研究結果では表7と表11から明らかなように,それほど顕著な差はなかった。Deanら(1986)はブロックを用いない場合のほうが用いた場合よりも高い達成水準に分類される傾向があることを指摘しているが,ブロックがあるタイプの問題解決をかえって妨害するということも考えられよう。以上のようにRileyらの結果は部分的にしかあてはまらないので,ブロックを用いない場合には適用できないと考えた方が無難であろう。2.Change問題とCompare問題における典型的な誤答最も多かったのは逆思考あるいは逆算に関連した誤答であった(表10,表12)。問題文の数値間の意味的関係を理解しないまま,Change問題では「もらう」をプラス,「あげる」をマイナス,Compare問題では「おおい」をプラス,「すくない」をマイナスと直結させて演算することによる誤りである。Change問題においてはもう1つ顕著な誤答が見られた。それは問題文の表現をそのまま式で表現したために,式の右辺をそのまま答としてしまうという誤りであった(11ページ参照)。
- 横浜国立大学の論文
- 1988-10-31
著者
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