自由参入,企業立地と厚生 (小野浩教授記念号)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿は,ある非貿易財産業において,企業がある規模に関する収穫逓減の技術に直面している場合の自由参入均衡を厚生の観点から評価したものである。本稿で考える状況は,企業が初めに市場への参入を決定し,次に参入を行う企業が2つの対称的な市場のどちらかに立地し,最後にそれぞれの市場でクールノー的数量競争を行うというものである。非貿易財産業では,立地した場所でしか販売を行うことができないという特徴があるため,ライバル企業の立地は立地選択において重要となる。このとき,各市場にそれぞれ半分の企業が立地するという自由参入均衡が得られるが,この自由参入均衡は,市場への参入費用,市場規模,および規模に関する収穫逓減の程度によって,生産者・消費者それぞれにとって厚生の観点から効率的な場合と効率的でない場合が存在することが明らかになった。一方,経済全体にとっては,市場への参入費用,市場規模,および規模に関する収穫逓減の程度に関わらず,自由参入均衡は常に効率的であることが示される。
- 2007-01-25