農産物の差別化と関税の効果 : 牛肉輸入に関する実証分析 (小野浩教授記念号)
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概要
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この論文は,牛肉の質に対する貿易自由化の影響を分析したものである。その結果,理論的には,もともと日本は質の高い牛肉に比較優位があり,外国は質の低い牛肉に比較優位があるが,貿易の自由化は,国産牛肉と輸入牛肉の質をともに上昇させるという結論が得られた。この理論的結論を1991年から2003年にかけて実証分析した結果,比較優位の貿易パターンどおりの貿易が行われていること,関税率が下がり,貿易の自由化が進行するとともに,輸入牛肉の質は確実に向上してきていること,国産の牛肉の質は一部で上昇しているものの,質の上昇は一部に留まっていることなどがわかった。これは,質の高い牛肉を生産しようとすれば,必ず質の低い牛肉もともに生産されてしまうという牛肉生産特有の事情によるものである。したがって, わが国の牛肉産業の今後の課題としては,より質の高い牛肉の生産をするとともに,質の低い牛肉の生産を抑えるために,牛の品種改良や生産過程の工夫が必要であるという結論が導き出された。
- 2007-01-25
著者
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