17 文部省における「百科全書」刊行の経緯について : 文部省刊行の百科全書「建築学」に関する研究・その1
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概要
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関藤成緒訳百科全書「建築学」の背景となつている文部省刊百科全書の成立過程についての以上の諸考案を要約すれば次の通りである。1.この「百科全書」は明治4年文部省の編輯寮において箕作麟祥(1846〜1897)主唱の下に英書飜訳によつて刊行に着手された。2.「百科全書」は文部省から篇別分冊の形式で明治6年から明治16年に渉つて逐次刊行され、その首巻は明治6年9月刊の箕作訳の「教導説」である。3.箕作麟祥は明治のフランス法学者であるが、当時官学教授職の最高位にあつた洋学者であり、かつては日本最初の英和辞書「英和対訳袖珍辞書」編纂協力者であつた。4.「百科全書」の刊本には、文部省分冊版の外に明治10年5月から刊行された20冊の合冊版、この合冊版を書肆有隣堂がそのまゝ飜刻市販した有隣堂版、および明治16年にはじまる原書の1874年第5版による書店丸善の丸善版があつて広く世に行なわれた。5.「百科全書」の原書は、William & Robert ChambersのInformation for the Peopleの1858年第4版すなわち安政5年版であつて「ウエリシ・セリーズ」ではない。6.百科全書「建築学」は文部省版および有隣堂版にはじめから附せられた書名で、丸善版では「造家法」と題された。なほこの論考は「建築学」および「造家法」の考察に続くが紙数の関係から以上をもつて「その1」とする。
- 1959-03-25
著者
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